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2016/08/22

『ひりつく色』

挾土秀平著『 ひりつく色』 
清水弘文堂書房 2015.5

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著者は左官職人

テレビで拝見したことがあったけれど
最近、某雑誌で短い記事を読んで
文章も読んでみたい、と思って読んだ本です

本を読むとき
すぐにその世界に入れるものと
なかなか入れないけれど
一旦入るとのめりこむものとがあって
この本は後者

江戸の左官職人・江戸屋萬蔵と
明治の左官職人・吉田春治と
挾土さんとの不思議な因縁は
ハラハラドキドキ推理小説のようでした

一番心に残ったのは
本物は残るとかいいながら
職人を大切にしてこなかった
日本への怒り

怒りと絶望と悲しみと
でも次代へ伝えたい希望とが
詩のような文章で
本全体に散りばめられていました

お殿様や旦那衆や財閥は
富の偏在ということでは悪かもしれないけれど
パトロンとして
ものすごくお金も手間もかかるモノを作ることも
支え続けて来た

一度失われてしまった技術は戻らない

私も今の仕事で
何百年も前の人が作った品物に
触れることがあるけれど
それは
作り主がしかるべき手間を掛け
持ち主が大切にしてきたからこそ
今に伝わっているのだと
人の想いと時の流れに粛然とすることもあります
(時を経て傷んでしまったものに対すると特に…)

品物そのものがあっても
どうやって作ったのかはわからないことも多い

お菓子についていえば
レシピがたとえあっても
そのときのその味を再現することはできないし…

…いろいろなことを考えさせられました

実は私の父方の祖父は左官でした
私が知るおじいちゃんは
もう現役ではなく
「盆栽のおじいちゃん」と呼んでいたほど
盆栽三昧の毎日だったようだけれど
どんな職人だったのかな…

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先日訪れた伊豆・伊東の「東海館」
昭和13年に建てられた元温泉宿です
外は猛暑でも
障子の内はどこか涼しげ
昔の職人技が生み出した美しいリズム
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